以前、El Mariachi Tiと同時に届いた27.5+(650B+)を紹介したときに「どうしてこの仕様(SingleSpeed MTB)の遊びは楽しいのかまた改めて伝えますね」と先延ばしにしていましたが今日こそは書きたいと思います。
「SingleSpeed MTB 魅力」とか「シングルスピード MTB」などのキーワードでググると、2009〜2012年頃の記事にヒットすることが多いような気がします。これは日本でシングルスピードがブームになった時期なのでしょうね。
その後ギヤードに戻る方、シングルスピードを楽しみ続けている方、更にシングルスピードをはじめた方と様々な方がいると思いますが、新しい情報はさほど増えていない気がしますね。
いくつもの記事を読み、共感すること多々なので今更という内容も多いですが、改めて興味を持っている方は私の目線も読んでもらえたらと思います。
自分の実力が痛烈にわかる
乗り始め最初に感じたのがこれでした。
変速ものに乗っている時は「今何速」という意識はありましたが「今○○×○○のギヤ比○.○」なんて意識は皆無でした。どんなギヤ比がよいのかわからないので関東圏の方の情報を参考に32×20(1.6)で乗り始めたところ、いつものところが全く登れず…いきなり挫折しそうになりました。
でも運良く(?)22Tのリヤコグも購入していたので32×22(1.45)にするとなんとか登れることが解り、自分の実力と地元のお山の坂具合を知ることができました。
昨年から乗り込んで32×22ならば激激坂でなければ乗車して登れるようになってきたので33×22(1.5)か32×21(1.52)のどちらかに変えようと思っています。たった1Tの差ですが重いギヤが踏めるようになっている=成長していることを実感できるのはとても嬉しいですね。
つまり、身の丈を知れる、成長がわかりやすい、そんな楽しみがあります。
駆動がスムーズで気持ちいい
最近3台程ギヤードのお手入れをしたのですが、ギヤードって結構無理がかかっていることに改めて気付きました。
チェーンはあらゆる方向に引っ張られ、ディレーラーのプーリーとチェーンの向きも常に綺麗に同じ方向を向いているわけではなく、どこかいびつで無理ある状態のことが少なくありません。プーリーも、カセットも、チェーンリングも側面も一緒に削れるような感覚があります。
ところがシングルスピードはチェーンラインが綺麗に出るよう組み付ければ、その後は変化なく駆動するだけなのでいびつな感じやフリクションロスも一切なしです(まぁ変速がないので当然なのですが)。
そのスムーズな駆動とのおかげで自分の力がロスなく伝わるダイレクト感をそのたび感じることができ、それが何気に快感だったりします。
余談ですがチェーンのたるみも変化することがないのでチェーンがフレームを叩かないのも魅力ですね。
ギヤードに乗っている時に気づかなかった事に気付ける
・ギ:ギヤードだけに乗っていた頃の走り
・シ:シングルスピードに乗って気づいた走り
●その1
ギ:平地→坂を登る→そのままのギヤではきつくなる→ロー側に変速
↓
シ:きつくなる前に加速してなるべく早くスムーズに坂をクリヤーしたくなる
僅かな斜度変化にも気を使うようになる→結果高い(速い)スピードを維持できる
●その2
ギ:坂を登りきったあと、平地に入ってもしばらく軽いギヤのまま
→体が楽になって(呼吸が安定して)からトップ側に変速→加速
↓
シ:登りきった瞬間に急に楽になる→変速ものと比べギヤ比が重いのでそのまま加速
→結果速くなる(王滝では後半このタイミングで抜くことが多かった気がします)
●その3
ギ:下りでスピードに乗せるのはペダルを回せばいい
↓
シ:30km/h以上では全く足がついていかないのでプッシュ&プルを多用
これだけでも思っていた以上に積極的にバイクが前に出ることを知る
→バイクコントロールをより積極的にするようになり楽しみが増える
正直、シングルスピードは下りと平地ではギヤードに全く追いつけません〜。特に自分のような楽しみ方をしていると自然と登り(と自分の脚力)にギヤ比を合わせるので尚更です。でも登りだったりリズムの合うアップダウンのセクションなんかは太刀打ちできる部分がありますね。
とはいえシングルスピードの楽しみは何かに対抗意識を燃やして…等の外との対比でなくて、自分自身の内なる葛藤(?)が一番の愉しみ処なので「乗りはじめたら解る」に尽きるのです。
またシングルスピードで得たこの走り方をギヤードに取り入れることができればそれはまたスムーズな走りができそうで、とってもよい経験ができていると思うのです。
部品点数が少ないので安く…済まないw
部品点数が少ないからこそ高級パーツに変えたくなるのですwww
でもそれだからこそ愛着と満足度はとてもとても高く、長く愛せること間違いなしです。
整備も楽チン自分でしやすいので、手を入れるたびに愛着度があがります。
それで最後に、これは皆が…ということではない部分なのですが
体的にシングルスピードがあってた
これが自分にとって一番大きな事柄だったかも。
登り坂でギヤードの時はロー側のギヤに変速しペダルをくるくる回します。
するとハァハァと心拍があがり頭熱くなりぐるぐるして辛くなります。
辛くなるからまた更にロー側に変速する…すると前に進まないわけです。
でももうトップ側に入れる身体感覚と心はありません。もうひたすら軽いギヤに依存するしかない…そうなっている自分に気付きました。
ところがシングルスピードはそれができません。ペダルくるくるしてハァハァにはなれません。だって、そんな軽いギヤ比にしてないから。
厳しい坂は立ち漕ぎしかありません(自分の場合ダンシングって感じでない…と前にも書きましたねw)。でもギヤードの時にローギヤでペダルくるくるした時ほど熱量がない感じで頭はそれほど熱くなく、ぐるぐるしてこないのです。
心拍系にこないぶん筋肉にはくるのでしょうけど、自分の立ち漕ぎは体幹…というか腹で漕いでいるので足を使っている感覚はとても薄いので意外と楽チンです。
ギヤードでも変速しなければ同じじゃない?と思ったのですが、上記したシングルスピード故のスムーズな駆動と自分の力がロスなく伝わるダイレクト感を味わいながらでは愉しみが違ってきます。また変速できないという諦め感もちょうどいい感じで働いてくれたりもします(笑)
といった感じでしょうか。最後はMっぽい部分も見え隠れする話になっちゃいましたね。
この記事を読んでシングルスピードにチャレンジしてくれる人っているのかしら…と、なんだか自信がなくなっちゃってきましたけど、この辺が自分的シングルスピードの魅力なんです!と声を大にして伝えたいです。
最後に、諏訪界隈のようなフラットから急激に坂が立ち上がる地域ではシングルスピードは楽しみにくいかもしれませんが、けっして虐めず、生暖かい目で見てあげてくださいね(笑)
コメント
コメント一覧 (8件)
初心者ですがMTBシングルスピード化に向けて体力と環境にあったギア比探っているところです、6月参考になりました。競技ではなくマイペースで走るには楽しみ深いですね。
匿名さん
はじめまして!コメントありがとうございます。
胃腸炎で倒れていまして、返信遅れてしまいました。ごめんなさい。
シングルスピードの競技もたまにありますし、ギヤードのなかシングルで戦う方もいますが
自分的には内なる楽しみが強いこと、未だ変わりません〜。
匿名さんもぜひ末永く楽しんでください!
こちらのページを拝見し、つい書き込ませて頂きました。
私もシングルスピード(SSFRですが)に乗り換えて、1年半程経ちました。
私は“やまめの生徒”の変わり者?ですが、教わってきた事を自分なりに消化して行き着いたのがSSFRでした。
リジッドフォークの練習で約半年、ギア比の検討で約1年かけました。
SSFR化の準備期間も楽しかったですが、乗り換えた後はもっと楽しく感じているこの頃です。
何か御縁がありましたらよろしくお願い致します。
Yossyさん
コメントありがとうございまーす!
この記事へのコメント、とてもとても嬉しいです♪
なにせご近所にはSS仲間、もっというとSSFR仲間は皆無なのです。。。
乗り始めると楽しいこと間違いなしなのですが、皆さんに変態扱いされるばかりで…
やっぱりSS乗りってそういう扱いをされるのですね(苦笑
yossyさんのバイク、ギヤ比・何を大切にそのギヤ比に…とか、
環境(坂が緩やかor急とか)や、好きなライディングスタイル(XCとかトレイルとか)とか
色々と話できると嬉しいです。
ちなみに私は(ブログの記事から知ってもらっているかもしれませんが)…
お山遊びが好きで、下りが大好きです。でもスピードを出すことではなくて
地形に合わせて曲がる&ちょっと飛ぶのが楽しくて仕方ありません。
ギヤ比は地元の坂は少々急なのとなるべく押すことなく登りきりたいな〜ということから
32×22で乗っています。
本当は33×22にしたいのですが…乗り込んで足ができていないとちょっとへこたれちゃいます。
今後もよろしくおねがいしまーす!
けあじさん、
レス頂きありがとうございます。
私のバイクをざっくりご紹介しますと、
フレームはNiner Air9のアルミでサイズはXLです。これだけで知っている人はもう誰か分かってしまうほどレア物です。因みに私の身長は1.73mです。
ギア比は34X20で1.70です。ギア比検討期間中に割出した値は1.73という値でしたが、30×18 (1.67)で10カ月程慣らしをして今に至っています。
目に見える所から、外見ではわからない所まで、拘りの塊バイクです。
私のフィールドは、街乗り、河川敷・川原、堤防の法面、グラベルなど幅広いです。もちろんトレイルにも入っていきます。ざっくり言うと気になった所は何処でも突っ込んでしまう、といった所でしょうか。
最後になりましたが私は機械オタクで一人の時間を楽しむ為の手段としてSSFR で遊んでいます。
よくSS乗りは変態って言われますが、ある意味で変態かもしれません。
Yossy
Yossyさんご返信ありがとうございまーす!
コメント遅くなってごめんなさい。
キーワードでどなたか解りました!
もし間違いでなければ以前ブログ拝見していました。
以前乗っていた鉄エルマリがLサイズで1.73mで乗りこなせるか
不安になった際参考にさせていただきました。
この記事です「Salsa El Mariachi SSとパーツとアレコレ」
→ https://menuetto.net/blog/keaji/2015/04/06_184823
妙に長文なのですが、下の方に書いた
>堂城さんの身長が171cmであること、他の方の記事で堂城さんの乗っているMERIDAの…
この”他の方”はYossyさんです(しつこいですが、私の勘違いでなければ)
まさかコメントいただけるとは…驚きと感謝です。
今でも乗っていらっしゃることなんだか勝手に嬉しく思っています。
ギヤ比も教えてくださってありがとうございます。
フィールドが違う…こともありますが、やまめ指導を受けた方は重いのを踏めるイメージあります。
そして自転車乗りは自分の自転車は細部まで突っ込んだものにしたくなりますよね。
Yossyさんの見えないところまでの拘りすご~く気になります。
けあじさん、
申し訳ありませんが人違いかと・・・ブログなど記事にしたことがありませんので・・・
因みに堂城先生と私は身長・体重はほとんど一緒です。(ただし先生はアスリート体系ですが)なので、やまめの学校に行ったときは先生の自転車を借りて、自分なりにいろいろシミュレーションしています。
私のこだわりはいくつかありますが、だいたい以下のとおりです。
・トップチューブは640㎜以上+ステムは150㎜前後
・クランク長は180㎜
・ピラーはオフセット25㎜
・BBはEBBを使うことでクランク軸の位置調整ができるようにしてある
・グリップは自分の手に合わせて肉盛りしたエルゴンGS1(怪)Sサイズ
・スポークのテンションは可能な限り固く張ってある
・フリーハブはDT240のシングルスピード用ですが、スターは標準の18Tではなく54Tに交換
・クロスカントリーバイクなのにブレーキはSAINT+メタルパッド+前後180㎜径のローター
全体的には馬鹿でかく硬い自転車で、見た目はやまめ目線から見ても異様なMTBです。
でも他のやまめの常連生徒さんも34×20のギア比で”軽い軽い”と言いながら乗り回せますが、身長170㎝以上限定です。
・・・一見で軽い気持ちで書き込みさせてもらったつもりだったのでしたが、こんなに書かせてもらって申し訳ありません。
Yossy
Yossyさん
あら、あらら、申し訳ありませ〜ん、、、たいへん失礼しました。
思い込みって怖いですね〜(汗)
見えない細部のこだわりを教えてくださってありがとうございます!
どれもこれも驚きの内容で…特にサドルからハンドルまでの距離感は冷や汗が出そうな数値で、やまめの学校で突っ込んだ人だけが乗りこなる特別仕様なのでは?と想像しています。
またグリップのオリジナル加工はかなり興味が湧きます。
(改)ではなく(怪)というところにも…(笑)
ほか、目から鱗の内容が…
EBBはチェーンテンショナーであり、ポジション変更に一役買いそうな目線や、スポークテンションが高いのは前に出る(進む)ホイールになるという認識で合っているでしょうか?
ブレーキはそういう仕様大好きです!!
たくさん教えてくださってありがとうございます。
自転車に乗るのも楽しいですが、拘りの部分を教えてもらえるのも楽しく嬉しいものですね〜。
今後もよろしくお願いいたしまーす!